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法人税の優遇措置の活用 WKC版

1. 減価償却資産の購入

中小企業者(期末資本金が1億円以下の青色申告をしている法人)では、取得価額が30万円未満の減価償却資産について、損金経理(費用計上)を要件に全額事業供用時の損金(経費)にすることができます。(これを「中小企業者の少額減価償却資産の即時償却」といいます。)
本来、10万円以上の減価償却資産については耐用年数に基づく減価償却が必要ですが、青色申告の特典として即時の償却が認められているわけです。(ただし、平成18年4月以降はこの即時償却は合計金額が年間で300万円に達するまでが限度となっています。)

一方、青色申告をしていない法人では、取得価額が20万円未満の一括償却資産の償却制度を利用できます。
一括償却資産の償却とは、耐用年数によらずに、3年にわたり均等償却できる制度です。こちらは、青色の要件がありません。

両者とも、本来の耐用年数によらないで、即時償却か3年均等償却が可能な特例計算といえるもので、経費の早期計上ができるメリットがあります。ただもちろん、即時に全部落とせる「中小企業者の少額減価償却資産の即時償却」が早期により多くの経費を計上できます。

 

2. 機械等の取得には特別償却を検討する

中小企業者(期末資本金が1億円以下の青色申告をしている法人)では、一定の要件に該当する資産(100万円を超えるような機械及び装置など)を取得したときは、特別償却か税額控除の適用が可能になる場合があります。
特別償却とは、通常の減価償却に加えて、損金(経費)を割増計上できるため、その分だけ利益が少なくなり、税金を抑えられる制度です。
一方、税額控除とは法人税額から直接控除することにより、税金を抑える制度です。
ともに状況によりかなりの税負担減が可能なものです。但し、適用要件や計算方法などは細かく、複雑ですので、専門家の判断が必要となります。

 

3. 賃倒損失を計上する

売掛金や貸付金などの債権が回収不能になっているなどして、長期にわたって回収されていない債権がある場合、一定の要件を満たすことにより、賃倒損失として損金(経費)にすることできます。ただし、様々な計上基準が設けられているため、それに該当しないと認められません。
例えば、取引先に対して何度督促を行っても債権を回収できないにもかかわらず、倒産まではしておらず、事業を続けられているケースもあります。その場合には、債権放棄(書面で、債権金額を明記するなどして、明確な意思表示をすること)をすることなどで、損金に算入することができます。

 

4. 固定資産の有姿除却を実施する

使用を止めて、今後事業に使用する可能性がないことが明らかな場合、固定資産の帳簿価額からその処分見込額を差し引いた金額を除却損として損金(経費)にできます。
ただし、その資産を除却したからといって、その資産を誰かに贈与した場合には、給与などとして課税されることが十分考えられます。そのため、その時々に応じて専門家にご相談いただいた方が望ましいでしょう。

 

5. 修繕費を有効に使う

法人が固定資産の修繕や改良を行う場合には、その支出がただの維持管理費用になるか、それともその資産の価値を高めるものであるかにより、税負担が大きく変わります。ただの維持管理費用であれば一時の損金(経費)になりますが、資産の価値追加となると資産計上するため一時の損金にはなりません。

ただし、その支出がただの維持管理費用か、それとも資産価値を高めるものであるかは、断定しにくい部分があるため、次の要件を満たす場合には、すべてをただの維持管理費用と考え、その支出額を一時の損金にすることができます。

 

  • ①. 改良の金額が20万円未満のもの
  • ②. おおむね3年以内の周期で行われているもの

 

上記の要件は、基本的には金額が少ないものだけになってしまいます。しかし、それ以外であっても、支出額が60万円未満のものであったり、前期末の取得価額の10%以下のものであったりする場合には、その全額を維持管理費用として一時の損金にすることができます。
なお、その資産の価値を高めるものとして、必ず資産計上しなければならないものとしては、以下のものが考えられます。

 

  • ①. 建物の避難階段の取付け
  • ②. 機械の部品などを、性能や品質の高いものへの取り替えるもの