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法人税の改正について注意点

リース取引について

1. 概要

 私たちの日常生活でいうリース取引とは、モノを貸したり借りたりする取引(以下、「資産の賃貸借取引」といいます。)の総称を指しているのが一般的です。しかし、法人税で考えるリース取引(以下、「法人税法上のリース取引」といいます。)は、これとは範囲が異なります。したがって、法人税を計算する上では注意が必要です。

 なお、改正が加わったことにより、平成20年3月31日以前に契約を締結したものと平成20年4月1日以降に契約を締結したものではその取扱いが異なりますが、今回は平成20年4月1日以降に契約を締結したものに限定してお話させていただきます。

 

2. 法人税法上のリース取引の意義

 資産の賃貸借取引のうち、次の2つの要件を満たすものをいいます。

  • ①. リース期間の中途において解約できないものであること。
  • ②. そのリース料総額がリース対象資産の時価の90%超になるものであること。

 実際には、細かい判定も必要になりますが、おおまかなイメージはこのようになります。その他の判定については、個別に契約書などを確認させていただく必要がありますので、まずは顧問税理士にご相談ください。

 

3. 法人税での考え方

 結論から申し上げると、法人税法上のリース取引は、基本的には売買があったものとして考えられます。契約書上は、モノを貸したり借りたりする取引なのですが、法人税を計算する上では、モノを売ったり買ったりする取引となるのです。        

 少し不思議かもしれませんが、法人税でこのように考える理由は、上記の2の2つの要件にあります。契約書上はモノを貸したり借りたりする取引になっているかもしれないですが、上記2の2つの要件を満たすと、その実態はモノを買ったり売ったりしたのとほとんど変わらない取引になっているのではないかと法人税では考えられてしまうわけです。

 つまり、リース期間中に中途解約できないということは、毎月支払うことになるリース料は必ず最後まで支払うことになります。さらには、そのリース料の総額がそのリース対象資産の90%超になっているということは、その資産を買った対価を分割払いしているのと同じと考えられます。以上のことから、法人税法上のリース取引は基本的には売買があったと考えているのです。

 

4. 具体的な税金の計算

 その会社がリース対象資産を貸した側なのか借りた側なのかでまた話は変わってきますが、今回は、借りた側のおおまかなイメージを示させていただきます。借りた側で売買があったということは、買ったと考えていきます。

 そこで1つ目のポイントになるのは、減価償却が必要になることです。取得価額はリース料総額+付随費用として計算していきますが、問題になるのは減価償却の方法です。基本的にはいつものと同じように定額法や定率法で計算していきますが、その内容によってはリース期間定額法という特殊な償却方法で減価償却しなければならないときもあります。
 次の2つ目のポイントは、消費税の関係です。買ったと考えますので、支払った消費税である仕入税額控除の計算では、リース料総額をもとにしてリース開始事業年度に一度に税額控除することになります。

 

5. 最後に

  売買があったと法人税では考えるにしても、契約書上はリース料を毎月支払っていくことになります。これをどのように仕訳に示して会計処理をしていくかという問題が生じるのですが、これにはいくつかの方法があります。また計算式も複雑な上に、個別に判定をする必要もありますので、まずは顧問税理士にご相談ください。