業績悪化改定事由の解釈
国税庁は平成24年4月3日、「役員給与に関するQ&A」の一部を改定し、「業績の著しい悪化が不可避と認められる場合の役員給与の減額(Q1-2)」を追加しました。業績悪化改定事由の解釈の拡大です。
1 以前の解釈
業績悪化改定事由の解釈については、通常、売上げや経常利益などの会社経営上の数値的指標が既に悪化している場合が多くみられました。つまり、業績の悪化の事実があってからの役員給与の減額となっていたのです。
2 今後の解釈
今回追加されましたQ&Aにおいては、現状において数値的指標が悪化しているとまで言えない状況であっても、業績悪化改定事由に該当するのかどうかの取り扱いを示しています。
3 具体的な事例
売上げの大半を占める主要な得意先が不渡りを出した場合など、客観的な状況から今後数値的指標が著しく悪化することが不可避と認められるのであれば、業績悪化改定事由に該当するものと考えられることとしています。
さらに、今後著しく悪化することが不可避と認められる場合で、結果的に経営改善策を講じたことで著しい悪化を回避できたとこも、業績悪化改定事由に該当するものと考えられるとしています。
また、主力製品について、今後、多額の損害賠償金等の支出が避けられない場合も業績悪化改定事由に該当するものと考えられることを明記しています。
今回の追加により、業績悪化改定事由がより広く解釈できるようになりました。今までは業績悪化の事実による役員給与の減額でしたが、近い将来の業績悪化による役員給与の減額も認められるようになります。しかし、税務調査でも指摘されやすい所ですから、慎重に行う必要がありますが、より柔軟な解釈になったことは喜ばしいことです。個人的には、もっと解釈の範囲が広がると良いと思います。