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法人税の優遇措置の活用 WKC版

6. 中小企業退職金共済(中退共)に加入する

支払う掛金金額を、損金(経費)計上することができます。退職する方へ支払う退職金であれば、原則的には退職したときに退職金額が損金になりますので、この共済に加入することにより、損金の前倒し計上が可能になります。また、実際の退職時には、共済から従業員に対して退職金が支払われる仕組みになっておりますので、一時に発生する退職金の支払を分割するという効果も期待できます。

中退共制度の掛金は、法人企業の場合は損金として、(個人企業の場合は必要経費として、)全額非課税となりますが、この共済には、役員の方は加入できませんのでご注意ください。

(注)中小企業退職金共済は、中小企業の相互の共済と国の援助にて、退職金制度を確立し、これによって中小企業の従業員の福利厚生の増進と、発展に寄与することを目的として設けられている公的な機関(独立行政法人 勤労者退職金共済機構)により運営されています。

 

7. 役員の退職金に備え、生命保険に加入する

役員が近い将来に世代交代をする場合に、交代時の退職金に備えて、退職予定時期に解約返戻金の率がピークになるように設計した、会社を保険金の受取人とする長期平準定期保険や逓増期保険に加入すると支払保険料の一部が損金になり、税の軽減効果を得ることができます。
役員退職金規程を整備しておく会社が多いようです。

 

8. 短期の前払い費用を損金に計上する。

次のような短期前払費用については、継続適用を条件に、その支払った日にその支払額の全額を損金(経費)に算入できます。これは、会計上の重要性の原則に基づく経理処理を、税務上も認めようという趣旨です。

 

要件

  • ①. 前払費用の額で、その支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るもの
  • ②. その支払った額に相当する金額の全額(支払は手形の振出でもよい。)を、継続してその支払った日の属する事業年度の損金に算入していること

ただし、次のようなケースは、適用が認められず、適用除外になるため注意が必要です。

適用除外

  • ①. 賃貸契約などにおいて、「翌月分の家賃を当月末までに支払う」という内容であるにもかかわらず、1年分の家賃を先払いした場合(短期前払費用としての損金算入はできません。通常の期間対応になります。)
  • ②. 収益に対応させる必要のあるものは適用できません。(借入金をして、貸付金、有価証券に運用する場合の前払利息などです。)

 

9. 交際費とその周辺費用について

交際費は、法人税法上は、一定限度までしか、損金(経費)に算入されません。また、税務上の交際費は、次のような広い範囲にわたっています。

 

(1). 交際費の意義
交際費、接待費その他の費用で、法人が、得意先、仕入先、などの取引先や株主や役員、従業員などの事業に関係のある者等に対する接待、慰安、贈答などのために支出するものをいいます。

 

(2). 交際費から除かれる費用

  • ①. 従業員の慰安目的の運動会、旅行など(福利厚生費で処理)
  • ②. カレンダー、手帳、手ぬぐい等の物品の贈与(広告宣伝費などで処理)
  • ③. 会議に関連する茶菓、弁当(会議費で処理)
  • ④. 出版物又は放送番組の座談会、取材等(広告宣伝費などで処理)
  • ⑤. 1人当たり5,000円以下の社外の人との飲食費

 

(3). 交際費から除かれる1人当たり5,000円以下の社外の人との飲食費

  • ①. 意義
    飲食その他これに類する行為のために要する費用で、1人当たり5,000円以下の費用をいいます。ただし、社内飲食費(その法人の役員、従業員などの接待のために支出するもの)は除きます。
  • ②. 適用要件
    適用を受けるには、次に掲げる事項を記載した領収書を保存しておかなければなりません。
  • イ. 飲食の年月日
  • ロ. 参加した得意先の氏名、名称、その関係
  • ハ. 参加した人数
  • 二. 費用の金額、飲食店の名称および所在地

 

  • ③. 付随する費用で飲食費等に含まれるもの
    • イ. 飲食店に直接支払うチャージ代、サービス料
    • ロ. 得意先が開催する行事に際して行う弁当などの差し入れをするための「弁当代」
  • ④. 付随する費用で飲食費等に含まれないもの
    • イ. 飲食店への送迎のためのタクシー代
    • ロ. ゴルフ、旅行の際の飲食費は、本来の目的であるゴルフ等の催事に関連する飲食費と捉えますので、その飲食費だけを抜き出すことはできません。
  • ⑤. 5,000円以下の判定と消費税
    飲食費が一人当たり5,000円以下かどうかの判定にあたって、消費税額抜きで判定するか、消費税込みで判定するかは、会社が適用している経理方法に応じます。つまり、税抜経理方式であれば消費税抜きの金額で判定し、税込経理方式であれば消費税込みの金額で判定を行います。