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個人の所得税

4. 株式を売却した場合

株式を売却した場合には、原則として譲渡所得で課税されますが、売却益か売却損かにより取扱いが異なります。

総収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) = 売却益 ・ 売却損
  ↓          ↓        ↓
譲渡代金     購入代金   売却費用

 

(1). 取得費

  • イ. 原則
    • a. 購入代金(移動平均法で計算した金額)
    • b. 譲渡代金×5%
    • c. いずれか多い金額
  • ロ. 特例(上場株式の場合)
    • 平成13年9月30日以前から引き続き所有していた株式で平成13年10月1日において上場株式に該当する場合には、次の中から最も大きい金額を取得費とすることができます。
    • a. 購入代金(移動平均法で計算した金額)
    • b. 譲渡代金×5%
    • c. 平成13年10月1日の価額(終値)×80%

 

(2). 譲渡費用
譲渡費用には、口座維持管理料は含まれません。

①. 売却益となる場合

  • イ. 上場株式の場合
    • 課税所得金額×10%(住民税を含みます。)
  • ロ. 未公開株式の場合
    • 課税所得金額×20%(住民税を含みます。)

※ 特定上場株式等の1,000万円の非課税の特例は平成19年をもって廃止されました。

 

②. 売却損となる場合

  • イ. 上場株式の場合
    • 他の株式の売却益と通算し、通算しきれない場合には3年間の繰越控除の適用がが受けられます。
    • ※ 給与所得や土地の売却益など他のものとは通算できません。
  • ロ. 未公開株式の場合
    • 他の株式の売却益と通算し、通算しきれない場合には、原則として3年間の繰越控除の適用は受けられません。
    • ※ いわゆるベンチャー企業への投資により購入した株式(特定株式といいます。)については、3年間の繰越控除の適用が受けられます。

 

③. 価値が無くなってしまった場合

  • イ. 上場株式の場合
    • 何ら考慮されません。
  • ロ. 未公開株式の場合
    • a. 特定株式に該当する場合
      • 上場の日までの期間内に価値が無くなってしまった場合には、その損失を売却損として取り扱う特例が認められています。
      • また、その損失について損失年だけで控除できない場合には、3年間の繰越控除の適用が受けられます。
    • b. 特定管理株式に該当する場合
      • 特定管理口座を開設している場合に、特定口座に保管されていた上場株式が、上場廃止などの事由により特定管理口座に移管され、解散等により清算が結了した場合には、その損失を売却損として他の株式の売却益と通算することができます。
  • ※ 特定管理株式の損失については3年間の繰越控除の適用はありません。

 

④ 株式の譲渡と確定申告

  • イ. 上場株式の場合
    • a. 特定口座を選択している口座
      • (a). 源泉徴収口座を選択している場合
        • 源泉徴収のみで課税完結することができ、確定申告する必要はありません。
        • 但し、他の株式が売却損となっている場合には、確定申告をして源泉徴収口座の譲渡益と通算することもできます。
        • なお、源泉徴収口座が売却損となっている場合にも確定申告しなくても良い特例がありますが、他の株式の売却益と通算する場合や、上場株式の3年間の繰越控除の適用を受けたい場合には確定申告することもできます。
      • (b). 源泉徴収口座を選択していない場合
        • 源泉徴収がされないので、確定申告することが必要となります。
        • なお、一定の金額以下であれば確定申告しなくても良い特例があります。
    • b. 特定口座を選択していない場合
      • 源泉徴収がされないので、確定申告することが必要となります。
      • なお、一定の金額以下であれば確定申告しなくても良い特例があります。
  • ロ. 未公開株式の場合
    • 源泉徴収がされないので、確定申告することが必要となります。
    • なお、一定の金額以下であれば確定申告しなくても良い特例があります。

 

5. 公社債を売却した場合

国債や社債など公社債を売却した場合には、次のように取り扱われます。

(1). 売却益となる場合

  • → 非課税となり、課税されません。

 

(2). 売却損となる場合

  • → 損失は、他の所得と通算はできず、打ち切りとなります。

 

6. 会社を退職した場合

会社を退職し、退職金をもらった場合には、退職所得として課税されます。

(1). 収入金額

  • 受け取った退職金

 

(2). 退職所得控除額

  • 勤続年数1年~20年 → 1年あたり40万円
  • 勤続年数20年~   → 20年までは1年あたり40万円
  • 20年を超える年数は1年あたり70万円
  • ※ 勤続年数の計算にあたっては、1年未満の端数は切り上げます。

(例)働いた期間  22年と3ヶ月 → 23年(1年未満切り上げ)

  • 400,000円×20年+700,000円×(23年-20年)=10,100,000円

 

(3). ((1)-(2))×1/2=退職所得の金額

  • なお、退職金については、前もって税金が差し引かれます。(源泉徴収)
  • 源泉徴収により引かれる税金は、退職する際に「退職所得の受給に関する申告書」を提出しているかどうかにより異なります。
  • ①. 「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合
    • 退職金についての正しい税額
    • → 上記(3)で求めた退職所得の金額に超過累進税率を乗じて計算した金額
  • ②. 「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合
    • 退職金の20%
  • また、年の途中で退職した場合には、退職した会社では基本的に年末調整は行われません。
  • したがって、退職した年の途中で再就職した場合には、再就職先へ退職した会社からもらった源泉徴収票を提出して、再就職先で年末調整をしてもらうか、再就職しない場合には、自分で確定申告をして、給与ついて徴収された税額を還付してもらう必要があります。